【コラム】世界大会のいろいろなビデオの話 その3(城戸慎也)

このコラムも今回でおしまいです。どうぞお付き合いください。
最後はその2で飛ばした、ティザー2の話。

>>World Yo-Yo Contest 2015 Teaser 2 (2015年世界ヨーヨー選手権大会 ティザー2)

このビデオは、自分にとって一大プロジェクトでした。2014年世界大会の最後、チェコから日本へバトンを受け取る役割を果たす重要なビデオで、結構なプレッシャーと戦ったことを覚えています。盛り上がった世界大会、終わりのタイミングで嫌な空気は出したくないな…と最初のうちはビクビクしながら編集しました。

しかし手元に集まった素材を編集していくうち、不安はだいぶ解けて楽しくなってきました。その素材こそ「See You in Tokyo」です。「See You in Tokyo」というフレーズが誕生したのは、このビデオからです。最初は三居氏(JYYF代表理事)の発案で、2014年のアジア大会等で数多くのプレイヤーが協力してくれたおかげでたくさんのビデオが集まりました。世界大会は開催地元だけでなく、文字通り世界中からたくさんの人が集まります。「See You in Tokyo」は、カメラを通してヨーヨープレイヤー・ヨーヨーファンに自己紹介をする、たった「それだけ」の映像だからこそ国を越えてストレートに意味が伝わるムービーができました。

そして、このムービーのメッセージをより深く掘り下げるために、歴代世界チャンピオンのビデオを盛り込みました。これは世界大会に関連するビデオに関わることがあれば、いつか必ずやりたいと思っていたことの一つでした。初めてのヨーヨー世界チャンピオン、Harvey Lowe氏に登場していただくことも。

1932年にカナダで開催された初めての世界大会、初の世界チャンピオンであるHarvey Lowe氏は、2009年3月11日に90歳で亡くなっています。恥ずかしながら、このことを知ったのは編集し始めてからでした。85年前に生まれた初代世界チャンピオンは、わずか6年前、自分が世界チャンピオンになった年まで、確かに居たという事実に驚いたのです。

周知の事実ですが、ヨーヨーは昔から愛されてきました。人形の次に古い玩具とも、中世ヨーロッパの貴族の遊びとも、いくつもの都市で大ブームを巻き起こしたことも。しかし、それらは自分にとってただの文献でした。Harvey Lowe氏のことを知ったことで、ずっと昔からヨーヨーが受け継がれてきたということに対し、初めて実感が湧いた気がしたのです。

それから製作に対する真剣度が更に増しました。世界中に居るヨーヨーファン同士をつなげるだけでなく、次の世代にヨーヨーを伝えていく。それは、競技として取り組む選手に最高の舞台を用意することと同じくらい、世界大会が持つ重要な役割なのです。ティザー2には、その役割を大いに担ってもらうことができました。
チェコでは無事(多少アクシデントはありながらも)このムービーが放映されました。実際の様子がこちらです。

>>2014World Commendation Tokyo15.com-Teaser 2 in WYYC2014

プレイヤーの顔が変わる度に声が上がり、ヨーロッパの選手や国を代表する有名選手などが現れると大きな拍手が起きました。作り手としては感無量の瞬間です。
ティザームービーは、全てを通してあらゆる国と地域・人種のプレイヤーに出演いただいています。それだけたくさんのプレイヤーが集まるということです。ヨーヨーをしていなければ交流すること、出会うことすらなかったプレイヤーに会える貴重なチャンス。ぜひおいで下さい。

最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。